摩訶不思議まかふしぎ)” の例文
答「……権力。そうです。権力欲とは何なのか。摩訶不思議まかふしぎな魅力をもって人間どもをあやつり世を動かす恐ろしいものに相違ございません」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
途方もない摩訶不思議まかふしぎな言葉で自分の狂った考えを言い表わして、それに対する相手の返答だけを聞くといった風な、奇妙な会話を交わしたりした。
お辰かと珠運もだきしめてひたいに唇。彫像が動いたのやら、女が来たのやら、とわつたなく語らば遅し。げんまたげん摩訶不思議まかふしぎ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「ここに小さな壺がある。が、普通の壺ではない。摩訶不思議まかふしぎの仙人壺だ。そうして俺は仙人だ、嘘だと思うなら見ているがいい。この壺の中へ飛び込んで見せる」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あまりにムクムクと膨れてきたので、破れたベビー服はよだれかけのように、申し訳にその首のあたりにぶら下っていた。こうして現れた摩訶不思議まかふしぎなる赤ン坊の大入道おおにゅうどう
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
主観というのは、一念三千のいである。客観というのは諸法実相の謂いである。もろもろの法は千変万化せんぺんばんか摩訶不思議まかふしぎである。これを描写しようとしても容易ではない。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
情合じょうあいと当惑とが半々にまじったような微笑をちらりと浮べ、これは摩訶不思議まかふしぎなことだからうっかりした事は言えぬとでもいったふうに、声を低めるのが常だったそうである。
これも、あのインド人だけが知っている、摩訶不思議まかふしぎ妖術ようじゅつなのでしょうか。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
摩訶不思議まかふしぎ思ひもかけぬわが知らぬ大きなるキヤベツがわが前に居る
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「おおよ! てめえのような摩訶不思議まかふしぎな爺イに下郎仕えするくらいなら、木の根を食っても、千早へ行く! いやおれはとっくに千早の一兵でいるつもりなんだよ」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
っている人にとっては、これ又奇怪な事件であることに、この迷宮事件が後になって、例の摩訶不思議まかふしぎな「赤外線男」事件をく一つの重大なる鍵の役目を演じたことを思えば
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
摩訶不思議まかふしぎ正覚坊のきららなるかくしどころのここのかなしさ
真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)