摂家せっけ)” の例文
「御入洛と聞いて、摂家せっけ以下の公家方が、公式にお迎えに出ようと、あわただしくよそおっております。この辺で御小憩ねがいたいが」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清正といえども、摂家せっけ清家せいけの生れというわけではない、本来を言えば、豊臣秀吉と共に、尾張のあの地点の名もなき土民の家柄なのです。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その時にこの植通公が、「いや、いや、五摂家せっけに甲乙はないようなれど、氏の長者はわが家である、近衛殿の御儘おんままにはなるべきでない」ととがめた。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼と国経とはまさしく伯父おじおいの関係になるのであるが、地位から云えば故太政大臣関白基経の長子であり、摂家せっけ正嫡せいちゃくである時平の方がはるかに上で、すでに左大臣の顕職にある年の若い甥は
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
時の大臣おとどであろうが、親王、摂家せっけの高貴であろうが、片ッぱしから、ごくつぶしの、無能呼ばわりして、まるでそこらの凡下ぼんげ共より劣る馬鹿者視して、罵りやまないことだった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
摂家せっけ以下、殿上月卿雲客てんじょうげっけいうんかくはことごとくそこに陪観ばいかんの席を賜わって寄りつどうていた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
公卿輩くげばら公達きんだちなかまでは、やごとなき摂家せっけの姫君をすら、はぎすすきの野ずえにき盗み出しまいらせて、朝月のほの白むまで、露しとどな目にお遭わせして、人目ひとめひそに、帰しまいらせたとか。
摂家せっけ、三条、水無瀬みなせの二卿。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)