掻摘かいつま)” の例文
出発前数日、文壇の知人が催おした送別会の卓上演説テーブルスピイチは極めて抽象的であったが抱負の一端が現れておる。その要旨を掻摘かいつまむとこうである。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
その要点を掻摘かいつまんでいえば、次のごとくである。人間は原始時代には皆、今日の野蛮人や多くの猿類のごとくに小さな団体を造って相戦うていた。
人間生活の矛盾 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
くじきし者と見え彼れ何も彼も白状したり其大要を掻摘かいつまめば彼れは久しく藻西太郎と共々に飾物の職人を勤めしだけ太郎の伯父なる梅五郎老人とも何時いつ頃よりか懇意に成りたり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
紛々たる人のうわさは滅多にあてにならざか児手柏このでがしわ上露うわつゆよりももろいものと旁付かたづけて置いて、さて正味の確実たしかなところを掻摘かいつまんでしるせば、うまれ東京とうけいで、水道の水臭い士族の一人かたわれだと履歴書を見た者のはな
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
要旨を掻摘かいつまむと、およそ弁論の雄というは無用の饒舌じょうぜつを弄するいいではない、鴎外は無用の雑談冗弁をこそ好まないが、かつてザクセンの建築学会で日本家屋論を講演した事がある
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
当時の二葉亭の説を簡単に掻摘かいつまむと、善といい悪というは精神の健全不健全のいいで、いわゆる敗徳者、堕落者、悪人、罪人等は皆精神の欠陥を有する病人である、その根本の病因をいやさないで訓誡
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)