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推開
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おしひら
觸ぬ此度は相摸守殿には
玄關式臺迄御見送り町奉行は下座敷へ
罷出で
表門を一文字に
推開けば天一坊は
悠然と乘物の
儘門を
驚破、障子を
推開きて、貫一は露けき庭に
躍り下りぬ。つとその
迹に
顕れたる満枝の
面は、
斜に
葉越の月の
冷き影を帯びながらなほ火の如く燃えに燃えたり。
硯箱を
彼の侍の前に差出すと、侍は硯箱の
蓋を
推開きて筆を取り、すら/\と名前を
飯島平太郎と書きおわり、自身番に届け置き、牛込のお
邸へお帰りに成りまして、此の始末を