推出おしだ)” の例文
或物あるものを窓の外へ推出おしだ突出つきだすような身のこなし、それが済むとたちまち身を捻向ねじむけて私の顔をジロリ、睨まれたが最期、私はおぼえず悚然ぞっとして最初はじめの勇気も何処どこへやら
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
夫人は端然として傍目わきめも振らず、侍女こしもと二人は顔見合せ、吐息といきと共に推出おしだす一言、「おお危い。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おぬるくて、のろい癖に、もの見高な、せっかちで、お天守見届けのお使いの帰るのを待兼ねて、推出おしだしたのでござります。もしえもしえ、図書様のお姿が小さく見えます。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……大勢の弟子のうちから、地震にちらばらないのだけ、四五人誘合さそいあって、てこに、麻縄、すき、セメントなんどを用意して、シャツにズボンばかり、浴衣にたすきがけのいきおい推出おしだしたんです。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とお貞は推出おしだすがごとくに言う。少年はそれには関せず。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と友禅の座蒲団ざぶとんを直して、桐火桶きりひおけ推出おしだしたまい
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)