つづ)” の例文
波を打つ廂髪ひさしがみの、白い額につづく下から、骨張らぬ細い鼻をけて、くれないすんに織る唇が——唇をそとすべって
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
薄茶色の芽を全体に吹いて、柔らかいこずえはじが天につづく所は、糠雨ぬかあめぼかされたかのごとくにかすんでいる。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
松山の上から見渡すと、高い日に映る、茶色や黄色が、しまになったり、段になったり、模様になったり、かすみで薄くされて、雲につづくまで、一面に平野をおおうている。満洲は大きな所であった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)