挙動ようす)” の例文
旧字:擧動
六人が先に、五人はうしろになって行くが、その二組が一つ連れであることは、しばら挙動ようすを見ているとわかった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
機に臨んで要領を得ないような挙動ようすをやられるので始終ハラハラした心持でついてゆくのであった。
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
矢立やたてをパチンとあけて、紙をスラスラとひろげる、その音まであざやかに響いて来るのです。竜之助は男女の挙動ようすを手にとるように洩れ聞いて、どういうものか、これを哀れむ気が起らなかった。
本当ほんと?」と雪江さんも急に莞爾々々にこにことなった。私は見ないでも雪江さんの挙動ようすは一々分る。「本当ほんと? そんならいけど……ちょいとちょいと、其代り……」と小声になって、「ルビー入りよ。」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
晋齋もお若がなんというであろうか、しや恩愛の絆にからまれてダヾをねはせまいかと心配致し、ジッと顔をながめ挙動ようすをうかゞって居りましたが、伯父様のよいようにと思い切った模様ですから
新三郎はもう老婆からお滝の怪しい挙動ようすを詳しく聞いていた。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)