招待しょうだい)” の例文
あたりがしずかなので、戸をしめきっても、四方に余音よいんつたわる。蓄音器があると云う事を皆知って了うた。そこで正月には村の若者四十余名を招待しょうだいして、蓄音器を興行こうぎょうした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
天竜院において立派に法事を営み、親方の養子夫婦は勿論兄弟弟子一同を天竜院へ招待しょうだいしてときふるまい、万事とゞこおりなく相済みまして、呼ばれて来た人々は残らず帰りましたから
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
向うで宴会を開いて、僕を招待しょうだいしてくれた事がある。何しろYの事だから、床の間には石版摺せきばんずりの乃木のぎ大将の掛物がかかっていて、その前に造花ぞうか牡丹ぼたんが生けてあると云う体裁だがね。
片恋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私は父と相談の上招待しょうだいの日取りをめた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
粂野美作守の重役を七里先から呼ばんければなりません、九の字の付く客を二九十八人招待しょうだいを致し、重陽ちょうようを祝する吉例で、作左衞門はの野菊白菊の皿を自慢で出してせます。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其の皿は実に結構な品でありますゆえ、たれも見たがりますから、作左衞門は自慢で、くだんの皿を出しますのは、ういうものか家例かれいで九月の節句に十八人の客を招待しょうだいして、これを出します。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
茜木綿あかねもめんのたッつけを穿き、蝦蟇がまの形をいたしてるものを頭に冠り、すその処に萌黄木綿もえぎもめんのきれが附いて居ますから、角兵衛獅子形かくべえじしがたちで、此の者を、町内の寄合場所へ村の世話人が附いて招待しょうだい致し
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)