“石版摺”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
せきばんずり66.7%
せきばんず33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
貰ったままで、好くも見ずに袂に入れた名刺である。一寸ちょっと拾って見れば、「栄屋おちゃら」といやな手で書いたのが、石版摺せきばんずりにしてある。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
わたしの眼に映じた新らしき女の生活は、あたかも婦人雑誌の表紙に見る石版摺せきばんずりの彩色画とほとんど撰ぶところなきものであった。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
新吉は外方そっぽうを向いて、壁にかかった東郷大将の石版摺せきばんずりの硝子張ガラスばりの額など見ていた。床の鏡餅に、大きな串柿くしがきが載せてあって、花瓶かびんに梅がしてあった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
向うで宴会を開いて、僕を招待しょうだいしてくれた事がある。何しろYの事だから、床の間には石版摺せきばんずりの乃木のぎ大将の掛物がかかっていて、その前に造花ぞうか牡丹ぼたんが生けてあると云う体裁だがね。
片恋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)