手捕てど)” の例文
案のごとく万太郎は、相手を優形やさがたと見くびッて、手捕てどりにする気でかかりましたが、ハッと気がついて途中からさらにうしろへ飛びかえって
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何、わたしがしのんで来ると、ちょうど誰かこのゆかの下へ、いこもうとするものがあるのです。そこで一つ手捕てどりにした上、顔を見てやろうと思ったのですが、とうとう逃げられてしまいました。」
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
罪なきたみきずつけるな。——こうう者は斬るな。——和田呂宋兵衛わだるそんべえはかならず手捕てどりにせられよ。以上、おん大将ならびに軍師ぐんし厳命げんめいでござるぞ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこは、釜無川かまなしがわしも富士川ふじがわかみ蘆山あしやま河原かわらに近いところである。燕作は、思いのほかすばしッこい竹童をもてあまして、手捕てどりにすることをだんねんした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じつは昨夜来の戦いで、敵を南門外におびき出し、関勝は、敵の急先鋒索超さくちょう手捕てどりにしたばかりでなく、索超を説いて、われらの仲間へ入ることを承知させた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、手捕てどりにして、とりでの下婢はしためにこき使ってやるのもよいぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)