手利てきき)” の例文
し彼方に於てあらかじめ大力手利てききの打手を用意し、押取籠おっとりこめて打ってかからんには誰か防ぎ得よう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
国子当時蝉表せみおもて職中一の手利てききなりたりと風説あり今宵こよいは例より、酒うましとて母君大いによい給ひぬ。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
牛込見附で、仲間ちゅうげんの乱暴者を一にん、内職を届けた帰りがけに、もんどりを打たせたという手利てききなお嬢さんじや、くるわでも一時ひとしきり四辺あたりを払ったというのが、思い込んで剃刀で突いたやつ
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの小さいのが、素敵な手利てききで、あれが裸松を一撃の下に倒したのだが、前のは先生で、自身は手を下さないが、あの先生が手を下す日になったら、どのくらい強いか底が知れない。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
紙子かみこきて嫁が手利てききをほゝゑみぬ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
今の世に尋常であの先生を手にかけるような手利てききはないにきまっている、それはあなたのおっしゃるまでもないこと、誰でも知っていますけれど、なにも刃物ばかりが人手ではなし……
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「お前様を討とうとて同流の手利てききが五人、ただいま宿を出てこれへ参りまする」