懲罰ちょうばつ)” の例文
このようにして懲罰ちょうばつということ以外に何もしらない動物を、極度に感情を押し殺したわずかの身体の運動で立ち去らせるということは
のんきな患者 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
五六日すると、壮い男の懲罰ちょうばつを受けるが尽きました。むすめは壮い男に昼の自由を与えて、夜はそのままに切燈台の役を勉めさせました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
司令が、本当のことをしったら、ピート一等兵は、どんな重い懲罰ちょうばつをくうかしれない。大嵐の前の静けさとは、まさにこのことだ。
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もちろん航空用のアルコールを飲むのは、不逞ふていの仕業であり、見付かれば懲罰ちょうばつものであった。だから宴は夜に限られていた。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
かれはのほうへからだを向けた。それはあたかもかれがこういう懲罰ちょうばつを見ているにしのびないというようであった。
かつはまた、下役や同僚の間にも、人望があったから、今日の懲罰ちょうばつの番人に当った者も、じつは、心ならずもとしているふうがありありと見えていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
憤激ふんげき! 興奮こうふん! 平素阪井の傲慢ごうまんや乱暴をにがにがしく思っていたかれらはこの際徹底的てっていてき懲罰ちょうばつしようと思った。二時の放課になっても生徒はひとりも去らなかった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
清盛の懲罰ちょうばつ魔王まおうまかせてください。この世では記録にないほどの恐ろしい苛責かしゃくを受け、死後もまた地獄じごくにおちて永劫えいごうにつきない火に焼かれなくてはならなかったら!
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
今昔物語こんじゃくものがたり』や『沙石集しゃせきしゅう』に、半分以上も是と同じ話があるので、そそっかしい者には古い話の保存とも見えるが、彼には仙郷が無くまた使者の失敗と懲罰ちょうばつということが無く
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と、懲罰ちょうばつに処した樹上の士卒が、いつの間にか逃走した由を、平蜘蛛ひらぐものようになって慄えながら告げた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして手錠の雷横は、大勢の前で、知事の戒告文を読み聞かせられ、木戸口に立っている幟旗のぼりばた竿さおの下にさらし物としてすぐくくしつけられてしまった。その懲罰ちょうばつの文にいわく。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)