“愴(いた)” の例文
於茲(こゝにおいて)手(て)を取(と)りて泣(な)きぬ。韓湘(かんしやう)慰(なぐさ)めて曰(いは)く、愴(いた)むこと勿(なか)れ、吾(われ)知(し)る、公(きみ)恙(つゝが)あらず、且(か)つ久(ひさ)しからずして朝廷(てうてい)又(また)公(きみ)を用(もち)ふと。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
焔は忽ち熾(さかり)なり、とみれば、また、かつがつうちしめて滅し去る、怪みて人に問へば、これ各(おの/\)わが家の悲しき精霊(しやうりやう)の今宵ふたたび冥々の途に就くを愴(いた)み
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
はしなくもこのことありしを思ひいで、かくも荒れはてたる城山の空しき風に対する時、さしもの雄図も、今や、日月と共に、遠き過去に属したるを愴(いた)むの情いよ/\深からざるを得ざるなり。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)