悪日あくび)” の例文
旧字:惡日
二月九日は東北ではヤサラと称して、八つの皿に濁酒にごりざけなどをいで神を祭る日であり、あるいはまたこの日を女の悪日あくびという処もある。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
通していないんだから、くたくたのひょろひょろ、棒鼻にもたれてようやく立っているというばかり、ひでえ悪日あくびもあるもンだ
さすがそんな時だけは、ドック内も一瞬シュンとなって「今日は悪日あくびだぜ、気をつけろ」などと云いあうが、一時間もたつと忘れてしまう。
一夜のうちにこれほどの失敗が重なったのは、彼等に取ってよくよくの悪日あくびとも云うべきであった。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こうと知ったら、定めし白髪しらが引挘ひきむしって、頭を壁へ打付けて、おれを産んだ日を悪日あくびのろって、人の子を苦しめに、戦争なんぞを発明した此世界をさぞののしこッたろうなア!
越えるどころか、多市は倒れるし路銀はられるような始末。どうやら悪日あくびに立ってきたかもしれませぬ
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて廓の颶風はやてがここへ舞い込んで来て、それからいろいろの渦を巻き起すことはありありと眼に見えているので、お時は毎朝の空を眺めて、きょうが其の破滅の悪日あくびではないかと
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
鬼六としては悪日あくびだった。不始末の上にも、このお叱りである。倉皇そうこうとして、彼は退きさがって行った。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そもそも今日きょう竹童ちくどうにとっていかなる悪日あくびか、ベソをかくことばかり突発する日だ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉岡家にとって、きょうはなんという悪日あくびか。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)