悪戯者いたづらもの)” の例文
この悪戯者いたづらものの考へでは女に対する仕打は笑ふか、忘れるかしてさへゐればそれでいいので、涙をこぼすなどは贅沢な沙汰に過ぎなかつた。
あの挿話エピソードは誰に聞かしたつて腹をかかえるだろう、この悪戯者いたづらものはその翌日看守長から鹿爪らしく呼び出された、それはかうだ。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
クラスの中で一番の悪戯者いたづらものだと睨まれてゐるのは一郎自身にもよく解つてゐるので、先生と口をきく時は叱られるときより他には決して無かつたので。
悦べる木の葉 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
と云つて力三は悪戯者いたづらものらしくそれを見せびらかしながらひねくつて居る。お末はふと棚の隅から袂糞たもとくそのやうな塵をかぶつたガラス壜を三本取出した。
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
鼠の外貌そつぽうがこの悪戯者いたづらものに似てゐるのは、飛んだ幸福しあはせで、名もない、ちんちくりんな野鼠までが長い口髯をひねりながら、象をおどかす事が出来るのだ。
悪戯者いたづらものの児守さへ、けふは下から真面目顔まじめがほ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
象はこの悪戯者いたづらものが背に這ひ上つたと気がつくと、鼻をりまはして、大暴れに暴れ出すが、chacanas はそんな事には少しも驚かない、象が怒れば怒るほど
「そやつたら、あて喜んで出まんがな。」悪戯者いたづらものの延若は鴈治郎の困るのが面白さに一膝前へ乗り出して来た。そして喜剣と岡平と九太夫とをごつちやにしたやうな表情をしながら鴈治郎に言つた。
あの爺さんに似たり寄つたりの悪戯者いたづらものだと見えて、象が昼寝でもしてゐると、あの長い鼻を伝つて、ちよろちよろとせなに駈けのぼり、きりのやうな鋭い爪でもつて皮に傷をつけ、そこから毒をして
それを見た悪戯者いたづらもの実川じつかは延若は、黙つてはゐなかつた。