恐々こわ/″\)” の例文
「ソンナニ恐々こわ/″\拭カナイデ、モット手ニカヲ入レテシッカリト。ア、オ爺チャン左ガ駄目ナノネ、右ノ手デ一生懸命キュー/\トこすッテヨ」
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
恐々こわ/″\熊の脊中を撫でて見ますと、いかにも温順おとなしくジッとして居りますから、思い切って熊の脊中へしっかり取付き、一生懸命神々を念じながら目をねむって居りますと
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それで、恐々こわ/″\側に寄って見ると、彼女は退るように驚いた。重明は死んでいたのだった。
兎唇みつくちになってから段々声の出し方が臆病になり、恐々こわ/″\しゃべる習慣がついて来たので、全く安心しきっている今の場合でも、どうかするとの啼くようなかすかな声になる。
麹屋の亭主は大勢の人を頼んで恐々こわ/″\ながら交遊庵に参ったのは丁度暁方あけがた、参って見ると戸が半ば明いて居ります、何事か分りません、小座敷にはさけさかなちらかって居り
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
恐々こわ/″\中さ這入へえって見ると旦那さアが書斎の籐椅子に腰さ掛けて眠っているでねえか。あれまア、こんな所で転寝うたゝねさして、風邪引くでねえかとそばさ寄ると、おらもう少しで腰さ抜かす所だったゞ。
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
まさかの時の用心にと思って短かいのを一本差して、恐々こわ/″\藤屋七兵衞の宅へ帰って来まして
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)