心契しんけい)” の例文
この正月を期して、遥々、前嗣のほうから下向して来たのも、表面の理由よりは、かねてふたりの胸にそういう心契しんけいもあるからだった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし幸いにも、拙者と彼とは、——形の交わりはないが、つねに戦場の好敵手として、相見るたび、心契しんけいよしみに似たものを感じ合っている。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはまた信玄がふかく心契しんけいしていた道の師、恵林寺えりんじ快川和尚かいせんおしょうが筆になるものとは、どんな者でも知っていた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長の恩命よりも、菊女のけた一枝の花よりも——である。秀吉がなみだをもって、自分の手に注いだ男と男の心契しんけい一つにすべてを忘れ得ることができた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は、亡き信玄とは、心契しんけいのあいだにあったし、信玄が彼を尊崇したことも一通りでなく、彼も信玄を信じること篤く、その七周忌のには、故人を評して
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真の、心契しんけいの友、刎頸ふんけいの友というものは、やはり艱苦かんくの中で知りおうた者でなければ生涯をちぎられますまい
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わかれたその後とても、心契しんけいの主従は、何かにつけて、朝夕遠くから思いを交わしていたにちがいない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よほど心契しんけいの友であった証拠には、彼はこの春山へ、死ぬ前に自分の愛刀を一腰、遺物分かたみわけしている。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「丞相は主君、義において父に似る。関羽は心契しんけいの友、義において、兄弟のようなものだ。……兄弟の情にひかれて父をあざむくとせば、不忠不義。ああどうしたものか」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとより、きょうの左右太の免役は、ある必要のために、越前守と、腹心三名とが、かねて相談の上で、ああやったことで、その心契しんけいは、すこしも変ってはいないのだ。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやいや、じつをいえば、主人李応とこの杜興とこうの間は、深く将来の心契しんけいで結ばれているんです。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禅と彼との心契しんけいがわかるし、また殊に、晩年千葉城址から熊本郊外の霊巌洞れいがんどうへよく通って坐禅していたことなど思い合せれば、その生涯を通じて、彼の鍛錬も、彼の閑雅も
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宮と正成とは、よほど心契しんけいなかとこれまで思っていた人々には、少なからぬ意外であった。
もっと深い心契しんけい知己ちきで、名目を客分として熊本に身を寄せていたのであった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心契しんけい人々ひとびと
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心契しんけい
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)