御秘蔵ごひぞう)” の例文
旧字:御祕藏
そのときたちまち、右手みぎてたかく、御秘蔵ごひぞう御神剣ごしんけんかざし、うるし黒髪くろかみかぜなびかせながら、部下ぶか軍兵つわものどもよりも十さきんじて、草原くさはら内部なかからってでられたみことたけ御姿おんすがた、あのときばかりは
「それじゃよう御座ござんす。八っちゃんあとで婆やがお母さんに皆んないいつけてあげますからね、もう泣くんじゃありませんよ、いい子ね。八っちゃんは婆やの御秘蔵ごひぞうっ子。兄さんと遊ばずに婆やのそばにいらっしゃい。いやな兄さんだこと」
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)