御文おんふみ)” の例文
幾度いくたび幾通いくつう御文おんふみを拝見だにせぬ我れ、いかばかり憎くしとおぼしめすらん。はいさばこのむね寸断になりて、常の決心の消えうせん覚束おぼつかなさ。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひつ大外記だいげき師行もろゆきどのとか聞えました。恒例こうれいの初雪の御文おんふみとかで、宮のお返辞をいただきたいとのことにござりまする」
それなら訳はないと云って、御所へ参って申し上げると、成るほどそうか、そんなことなら容易たやすいことだと仰っしゃって、かたじけなくも御所様が御自身で御文おんふみをお書きになり
三人法師 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
幾度いくたび幾通いくつう御文おんふみ拜見はいけんだにせぬれいかばかりにくしと思召おぼしめすらん、はいさば此胸このむね寸斷すんだんになりてつね決心けつしんえうせん覺束おぼつかなさ
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
行家は、肌身に奉じて来た宮の御文おんふみ錦襴きんらんふくろぐるみ、額に拝んで持ち出し
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折返し、母うえの御文おんふみ、そもじの文、いつもくり返しくり返しよみもうし候
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宮のおすがたを奥に捜し求めて、やがて彼は、めし御文おんふみを取次いでいた。