御幣餅ごへいもち)” の例文
炉ばたでは山家らしい胡桃くるみを割る音がしていた。おふきは二人の下女を相手に、堅い胡桃のたねを割って、御幣餅ごへいもちのしたくに取りかかっていた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
想山著聞奇集しょうざんちょもんきしゅう』などに詳しく説いた美濃・信濃の山々の狗賓餅ぐひんもち、或いは御幣餅ごへいもち・五兵衛餅とも称するくしに刺した焼飯のごときも、今では山の神を祭る一方式のように考えているが
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「今夜は御幣餅ごへいもちでも焼いてあげたいなんて、台所で今したくしています。」とお民は言った。「まあ、香蔵さんもゆっくり召し上がってください。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「きょうは若夫婦に御幣餅ごへいもちを祝うつもりで、胡桃くるみを取りよせて置いた。お前も手伝っておくれ。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
前達まへたち祖父おぢいさんは、この御幣餅ごへいもちきでした。日頃ひごろむら人達ひとたちから『お師匠ししやうさま、お師匠ししやうさま。』としたしさうにばれてたのも、この御幣餅ごへいもちきな祖父おぢいさんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
木曾きそ御幣餅ごへいもちとは、ひらたくにぎつたおむすびのちいさいのを二つ三つぐらゐづゝくしにさし、胡桃醤油くるみしやうゆうをかけ、いたのをひます。そのかたちるから御幣餅ごへいもちでせう。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
三吉が着いて三日目——翌日は彼も姉の家をつと言うので——豊世やお島やお仙が台所に集って、木曾名物の御幣餅ごへいもちを焼いた。お種は台所を若いものに任せて置いて弟の方へ来た。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「お客さま——へえ、御幣餅ごへいもち。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
四○ 祖父おぢいさんのきな御幣餅ごへいもち
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)