御声おんこえ)” の例文
旧字:御聲
頼春は忽然数年前に、日野資朝すけとも卿の別館の夜の後苑でその御方おんかたの、御姿おんすがた御声おんこえとに接しまつった事を、まざまざと脳裡に映し出した。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あやしき神の御声おんこえじゃ、のりつけほうほう。(と言うままに、真先まっさきに、梟に乗憑のりうつられて、目の色あやしく、身ぶるいし、羽搏はばたきす。)
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
働き出し玉う御容貌ごきりょうは百三十二そうそろ御声おんこえうぐいす美音錠びおんじょう飲ましたよりまだ清く、御心ごしんもじ広大無暗むやみ拙者せっしゃ可愛かわゆがって下さる結構づくゆえ堪忍ならずと
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
神職 これは、はや、恐れながら、御声おんこえ、み言葉とも覚えませぬ。不肖榛貞臣はしばみさだおみいたずらに身すぎ、口すぎ、世の活計に、神職は相勤めませぬ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
両眼を鋭く見ひらかれ、宮家は烈しい御声おんこえで云われた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、はじめて大塔宮には、かすかに御声おんこえをもらされた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)