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引拔
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ひきぬき
せよと言ひながら腰の一刀
引拔つゝ
身構へなせば
惡ものどもは打笑ひ何の
小癪な
青二
才と
息杖取のべ打て
蒐を此方は
騷がず切拂ひ又打込を
引拔深く掘りて
密に其下へ
埋ける爰に
駕籠舁の善六と
云は神奈川宿にて
正直の名を
取し者なり昨日龜屋へ一宿を
一本づつ
引拔半分
禿頭頂にしてぢく/\と血の出る處へ
太筆に
墨くろ/″\と含ませぐる/\と
塗廻し夫より鹽水を
灌ぎ懸て強く
摩り
込ければ盜人はヒツ/\と聲を