式部卿しきぶきょう)” の例文
この時分に式部卿しきぶきょうの宮と言われておいでになった親王もおかくれになったので、薫は父方の叔父おじの喪に薄鈍うすにび色の喪服を着けているのも
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
もう一人もやはり僧侶そうりょで、広沢ひろさわ寛朝僧正かんちょうそうじょうという人である。大僧正になった人で、仏教の方でも有名であり、宇多天皇の皇子の式部卿しきぶきょうの宮の御子みこである。
大力物語 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
初めからの妻はくなって、現在の夫人は最近までいた太政大臣の長女で、真木柱まきばしらを離れて行くのに悲しんだ姫君を、式部卿しきぶきょうの宮家で
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏は女院をお慕いあそばされる御親子の情から、夜も昼もお悲しいのであろうと拝見した、その日に式部卿しきぶきょう親王の薨去が奏上された。
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
加茂の斎院は父帝の喪のために引退されたのであって、そのかわりに式部卿しきぶきょうの宮の朝顔の姫君が職をお継ぎになることになった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
私の叔父おじのおくなりになった式部卿しきぶきょうの宮が秘蔵しておいでになったのを、あの衛門督えもんのかみは子供の時から笛がことによくできたものだから
源氏物語:37 横笛 (新字新仮名) / 紫式部(著)
夫人は人に劣った女性でもなかった。身分は尊貴な式部卿しきぶきょうの宮の最も大切にされた長女であって、世の中から敬われてもいた。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
式部卿しきぶきょうの宮がおかくれになって何ほどの時がたっているのでもないが、もう宮のうちには荒れた色が漂っていて、しんみりとした空気があった。
源氏物語:20 朝顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今年の春おかくれになった式部卿しきぶきょうの宮の姫君を、継母ままははの夫人が愛しないで、自身の兄の右馬頭うまのかみで平凡な男が恋をしているのに
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
縁側に近い御簾みすの中に院のお席があって、そこにはただ式部卿しきぶきょうの宮が御同席され、右大臣の陪覧する座があっただけである。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮と申した方は今は式部卿しきぶきょうになっておいでになって、当代の御外戚として重んぜられておいでになる宮の姫君も、予定どおりに後宮へはいって
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
夫人は東のたいのうちの離れへ人を避ける設備をして、そこで八条の式部卿しきぶきょうの宮の秘伝の法で香を作っていた。
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
御座おましの後ろの四つの屏風びょうぶ式部卿しきぶきょうの宮がお受け持ちになったもので、非常にりっぱなものだった。絵は例の四季の風景であるが、泉や滝のき方に新しい味があった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
按察使あぜち大納言、式部卿しきぶきょうの宮様などから婿君にといって懇望されていらっしゃったのを無視しておいでになったあとで帝の御秘蔵の宮様を奥様におもらいになった方だもの
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
西のほう一帯には式部卿しきぶきょうの宮の王女御おうにょごがいるのである。一つの中廊下だけが隔てになっていても、二人の女性の気持ちははるかに遠く離れていたことであろうと思われる。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
式部卿しきぶきょうの宮もあのように強い態度をおとりになったものの、大将がそれきりにしておくことで煩悶はんもんをしておいでになった。大将はもう交渉することを断念したふうである。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
宰相中将、式部卿しきぶきょうの宮の兵衛督ひょうえのかみ、内大臣家のとうの中将などに、蘆手あしでとか、歌絵とか、何でも思い思いに書くようにと源氏は言ったのであった。若い人たちは競って製作にかかった。
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この大将は東宮の母君である女御にょごとは兄弟であった。源氏と内大臣に続いての大きい勢力があった。年は三十二である。夫人は紫の女王にょおうの姉君であった。式部卿しきぶきょうの宮の長女である。
源氏物語:30 藤袴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
式部卿しきぶきょうの宮の左兵衛督さひょうえのかみは南の夫人の弟である。六条院へは始終来ている人であったから、玉鬘の宮中入りのこともよく知っていて、相当に煩悶をしているのが文意に現われていた。
源氏物語:30 藤袴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
式部卿しきぶきょうの宮の姫君に朝顔を贈った時の歌などを、だれかが得意そうに語ってもいた。
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
このうわさが世間から伝わってきた時、式部卿しきぶきょうの宮の朝顔の姫君は、自分だけは源氏の甘いささやきに酔って、やがてはにがい悔いの中に自己を見いだす愚を学ぶまいと心に思うところがあって
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
継母ままははである式部卿しきぶきょうの宮の夫人が始終自分をのろうようなことを言っておいでになって、左大将の結婚についても自分のせいでもあるように、曲がった恨みをかけておいでになるのであるから
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
六条院が式部卿しきぶきょうの宮の女王にょおうを育て上げられたようにして、この宮の世話をする男はないのだろうか。普通人の中に私が選び出すような人格者はまずないらしい。宮中には中宮ちゅうぐうがおいでになる。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
この夫人から生まれたのは男の子ばかりであるため、左大将はそれだけを物足らず思い、真木柱まきばしらの姫君を引き取って手もとへ置きたがっているのであるが、祖父の式部卿しきぶきょうの宮が御同意をあそばさない。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
桃園の女五にょごみや様は寂しいお一人ぼっちなのだからね、式部卿しきぶきょうの宮がおいでになった間は私もお任せしてしまっていたが、今では私がたよりだとおっしゃるのでね、それもごもっともでお気の毒だから
源氏物語:20 朝顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)