)” の例文
土を穿ち、土を移し、土をらし、土を積む。彼等は工兵のありである。同じ土に仕事する者でも、農は蚯蚓みみずである。蚯蚓は蟻を恐れる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そこは煉瓦を積んだ塀になつてゐて、銃眼を穿つた跡がみえ、掘り返された庭の土が生々しくらしてあつた。
従軍五十日 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
畑の中を、うねから畦へ、土くれから土くれへと、踏みつけ踏みつけ、まぐわのように、かため、らして行く。鉄砲で、生籬いけがき灌木かんぼくの茂みや、あざみくさむらをひっぱたく。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
車の轍でらされているこの道を、いつも二輪の荷車を曳いて、面白げに走る馬もどこにも見えない。
(新字新仮名) / ウィルヘルム・シュミットボン(著)
傾斜地であるから、家々石垣を築き、僅かに地をらして宅地とする。最高所の家は丘陵の上にあり、最底所の家は湖水に沿ひ、其の間の勾配に、百戸足らずの民家が散在してゐるのである。
諏訪湖畔冬の生活 (新字旧仮名) / 島木赤彦(著)
茶屋の主、東定臣が、ネルのシヤツにコオルテンの半ズボンを穿き、店の前の道を鍬でらしてゐます。時々、腰を伸ばし、空を見上げるのですが、やがて