幕間まくあひ)” の例文
幕間まくあひに成つたので老文豪コルネエユが再び楽屋へはひつて来たが、モリエエルが何時いつになく不興な顔附かほつきをして冷淡な応答をするので
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
私の生涯の一局面が今晩閉ぢようとし、新らしい生活が明日開かれようとしてゐるのだ。その幕間まくあひに眠るなんてとても出來ない。
途中、『母ちゃん、お葬式とむらひが通るよ。』と赤い羅紗の靴をはいた子が、家の中に駈け込んだのを、お葉は幕間まくあひから見てゐた。それは繁華な電車通りであった。
青白き夢 (新字旧仮名) / 素木しづ(著)
道頓堀の夜景はちやうどこれから、といふ時刻で、筋向うの芝居は幕間まくあひになつたらしく、讚岐さぬき屋の店は一時に立て込んで、二階からの通し物や、芝居の本家や前茶屋からの出前で
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ある日の事、月郊氏が幕間まくあひの時間を川上の楽屋で世間話に過してゐると、そこへその当時の大立物伊藤春畝しゆんぽ公が金子堅太郎、末松謙澄けんちようなどいふ子分を連れてぬつと入つて来た。
ことに此度は悴事朝より出つづけにて、幕間まくあひも取込居り候間、失礼ながら老筆にて御礼の御受申上候。且又先達せんだつてより悴が一寸申上置候よし、甚だ麤末そまつのささ折奉御覧入候。御笑味奉願上候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
幕間まくあひに女連が何處かへ行つてしまふと
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
幕間まくあひにサロンや廊を逍遥する群衆の中に平生とちがつて時代遅れの服装や帽が際立つて多く目に着くのは、う云ふ点に案外無頓着な学者芸術家の気質を自然に現して居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
道頓堀の夜景はちやうどこれから、といふ時刻で、筋向うの芝居は幕間まくあひになつたらしく、讃岐屋さぬきやの店は一時に立て込んで、二階からの通し物や、芝居の本家や前茶屋からの出前で
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)