帰家きか)” の例文
僕等は赤彦君のまへにいつはりを言ひ、心に暗愁のわだかまりを持つて柹蔭しいん山房を辞した。旅舎やどに著いて、夕餐ゆふさんを食し、そして一先づ銘々帰家きかすることにめた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
わたくし決心けっしんあくまでかたいのをて、両親りょうしん無下むげ帰家きかをすすめることもできず、そのままむなしく引取ひきとってしまわれました。
かくて彼は再び鉄面をかぶり愛児までをともないて帰宅せしに、両親はその心情をも察せずして結局彼が窮困の極帰家きかせしを喜び、なにとかして家に閉じ込め置かん者と思いおりしに、彼の愛児に対する
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)