席巻せっけん)” の例文
羽柴秀長、丹羽五郎左衛門、この二将にひきいられた各大隊は着々、その担当地域に戦果をあげて、敵性の砦や城地を、席巻せっけんして行った。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だがカリフォルニアン・クリッパーに関する最大の驚異は、それがニューヨーク・サンフランシスコ間だけでなく、いわゆる「三角航海」によって全世界を席巻せっけんしたからであった。
これに反して一方妙なイキサツから美妙とにらみ合いになった紅葉はメキメキ売出して硯友社の勢力が漸次に文壇を席巻せっけんし、何時いつとはなしに美妙に取って代って人気を蚕食してしまった。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
一挙に席巻せっけんし、一気に統治の実をあげてしまおうと、そく信忠もつれてゆく予定で安土へ呼び、今や出陣の準備に忙しい最中であったのである。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信濃では、雲の峰のように湧いた大小いくつもの乱軍が合流しあって、一手は碓氷うすい峠をこえ、一手は甲州を席巻せっけんし、もう武蔵野へなだれ出ていた。
伊勢はこうして、席巻せっけんされた。自国の過半を、またたく間に失って、大納言北畠具教とものりも、遂に、和を乞うしかなかった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その年の十二月、曹操の遠征軍は、まず陳の国を攻め、汝南(河南省)潁川えいせん地方(河南省・許昌)を席巻せっけんして行った。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、その席巻せっけんぶりにも、限りがあった。横山城に当ると、ここは越前と江北の要路で、敵には、重要な地点だった。さすがに、頑として、手ごたえがある。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「曹操がみずから攻めてくるようだったら、それは容易ならぬことになる。北方の袁紹えんしょうですら一敗地に滅び、冀北きほく遼東りょうとう遼西りょうせいまで席巻せっけんしたあの勢いで南へきたら?」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは尊氏一族の本国三河を席巻せっけんして、尊氏がかくしている妻子や母を召捕る戦略だとか聞いている。また宮門へむかって牛にムチ打つ車、もどる輿こし、じつに人は多い。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武田領を席巻せっけんし、甲府までも、一挙にほふり去らんなどと御主張あったが——それは徳川本位な策、徳川家にとっては、織田勢三万を、ここまで呼び出しているついでゆえ
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(今に、毛利の水軍が、海路うなじ舳艫じくろ相銜あいふくんで東上してくる。また陸からは、吉川きっかわ、小早川の精鋭が播州を席巻せっけんし、秀吉をやぶり、諸豪を麾下きかに加えて、怒濤のごとく中央へ攻めてくる!)
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初め、おまえのはなしでは、この中国など、信長が手をつければ、忽ち席巻せっけんしてしまうようなことを申しておった。ところが、中国探題ちゅうごくたんだいとしてやって来た秀吉の手勢は、わずか五、六千。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「兵、三千は長篠ながしのへ向え。——自分は吉田城をいて、その地方を席巻せっけんする」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこまでほとんど、一気に席巻せっけんして来たので、織田信忠は
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「伊勢の南を先に席巻せっけんして高岡の城は、後にすべし」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)