岸駒がんく)” の例文
有名な岸駒がんくの虎だって画で見るばかりだ。芝居には国姓爺こくせんやの虎狩もあるが、これも縫いぐるみをかぶった人間で、ほん物の虎とは縁が遠い。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
第十二「松の間」は、十六畳と二十四畳、三方正面の布袋ほていがあって、吊天井つりてんじょうで柱がない、岸駒がんく大幅たいふくがある。
その時はめでたいからと云うので、客間のとこには必ず虎の双幅そうふくけた。これは岸駒がんくじゃない岸岱がんたいだと父が宗助に云って聞かせた事があるのを、宗助はいまだに記憶していた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
岸駒がんくさ。文部省の展覧会へ出そうもんなら、鑑査で落第するのだ」
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
其時そのとき目出度めでたいからとふので、客間きやくまとこにはかならとら双幅さうふくけた。これ岸駒がんくぢやない岸岱がんたいだとちゝ宗助そうすけつてかせたことがあるのを、宗助そうすけはいまだに記憶きおくしてゐた。このとらにはすみいてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)