山県大弐やまがただいに)” の例文
その一死を賭して、雲蒸うんじょう竜変りょうへん成功を万一に僥倖ぎょうこうしたる、またべならずや。竹内式部たけのうちしきぶ山県大弐やまがただいに、高山彦九郎の徒すなわちこれなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
遠く山県大弐やまがただいに竹内式部たけのうちしきぶらの勤王論を先駆にして、真木和泉まきいずみ以来の実行に移った討幕の一大運動はもはやここまで発展して来た。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ここに立てる石碑のうちには、本居宣長もとおりのりながの「酒折宮寿詞さかおりのみやよごと」を平田篤胤ひらたあつたねの筆で書いたものと、甲州の勤王家山県大弐やまがただいにの撰した漢文の碑もある。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
同時に、町々は浪人の狩立かりたて、江戸表では長沢町の山県大弐やまがただいに、一昨夜南町奉行所の捕手にからめられて、一味のこらず、揚屋入あがりやいりとあいなった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはその翌年、桜痴居士が『日日新聞』紙上に連載した小説「山県大弐やまがただいに」を、作者自身が同社へは無断で春陽堂から出版させたというのであった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
竹内式部しきぶ山県大弐やまがただいに。カムフラージュされた形で賀茂真淵かもまぶち本居宣長もとおりのりなが以下の国学派がそれである。
尊攘戦略史 (新字新仮名) / 服部之総(著)
京都の公卿に賓師ひんしとなって、勤王思想を鼓吹こすいした時に、左近将監武元に策して、断然たる処置をとらせたり、その後ほどを経て起こったところの、山県大弐やまがただいに、藤井右門の
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かつて明和のころ、山県大弐やまがただいにはその著『柳子新論りゅうししんろん』のなかで位禄を分つことが天下の乱れるもとである、と云った。朝廷は諸臣に位階を与えるだけ、政治の実権は幕府の手にある。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
折も折とて、輝高てるたかは、ちょうどこの頃、江戸長沢町ながさわちょうに兵法講堂を開いている、山県大弐やまがただいにという者に目をつけていた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山崎闇斎あんさいを見ずや、浅見絅斎けいさいを見ずや、竹内式部たけのうちしきぶを見ずや、山県大弐やまがただいにを見ずや、高山彦九郎を見ずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
これが山県大弐やまがただいにか。
夜明けの辻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
中心として、竹内式部たけのうちしきぶ山県大弐やまがただいに、そのほか西国の諸侯数家、連判をなし血誓の秘密をむすび、自分はすでにその盟主となっている。今に及んで、卑怯ひきょうがましい、なんの、これほどの大事を
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宝暦変ほうれきへんの前後、鴻山と一八郎が、公卿くげの背後に阿波あり、式部や山県大弐やまがただいになどの陰謀の黒幕に蜂須賀あり、と叫んでも、当時誰あって耳をす者もなかったが、ひとり、大府だいふ甲賀組の隠密に
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「江戸表は山県大弐やまがただいに、まッ先に火を放って、箱根のけんに王軍を待つの計か」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)