山城やまじろ)” の例文
稲葉山城の白壁にも、日永ひながの陽があたっている。惰気だき倦怠けんたい陽炎かげろうが、そこの白壁にも見てとれる。そんな日に、絶頂の山城やまじろふもとから仰ぐと
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもその城は、当時盛んに行われていた山城やまじろとは異なり、平地の京都市中に、深い壕や堅固な城壁を以て、山城以上に防備厳重に築いたものであった。
鎖国:日本の悲劇 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「深いことは知りませんが、うわさにきけば、なんでもこの上には武田たけだ残党ざんとうがたてこもっている山城やまじろがありますそうで」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——この山城やまじろは三だんぐるわおくとりでのものは毒水どくみずをのんでたおれたにしろ、まだ八ごう外城そとじろのものは、無事ぶじでなにも知らずにいるかも知れない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠くの高欄こうらんをちらと行く侍女やら上﨟じょうろうの美しさも、都振りそッくりを、この伊吹の山城やまじろへ移し植えたとしか思えない。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山城やまじろなので、ほりはないが、鉱山かなやま掘りの坑夫をつかって、城のまわりに塁壕るいごうを深く掘らせ、これに鈴鹿川の渓流を切って流し、寄手の徒渉としょうを困難にした。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
野武士のぶしの立てこもっていた山城やまじろ——和田呂宋兵衛わだるそんべえ丹羽昌仙にわしょうせんなどというやつらが、ひさしくをつくっていたところだ。それもとうとう時節がきて、あのとおり、焼きはらわれたものだろう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それはまずかろう。いちど大負けに負けているうえ、両大将が山城やまじろへ入りこんで、および腰な御指揮とあっては、士気が立ち直れるはずもない。また遠方にあるお味方への聞えも悪い。始終しじゅうの利こそ大切と思わるる」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「高い山城やまじろだなあ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)