屡叩しばたゝ)” の例文
いまぢや、まるつきしおつかのやうながしてんだな、屹度きつと女房にようばうらはまた與吉よきちていつた。勘次かんじそばたゞ屡叩しばたゝいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なさるべしといと忠實まめやかに申けるにぞ父母ふたおや其切そのせつなる心に感じ眼を屡叩しばたゝ然程迄さほどまで我が身を捨ても親をすくはんとは我が子ながらも見上たりかたじけなしとお文の脊中せなか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お利代は大きい眼を屡叩しばたゝき乍ら、未だはつきりと自分の心を言出しかねる樣で、『恁うして先生のお世話を頂いてると、私はもう何日までも此儘で居た方が幾ら樂しいか知れませんけれども。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)