小立野こだつの)” の例文
ほたる淺野川あさのがは上流じやうりうを、小立野こだつののぼる、鶴間谷つるまだにところいまらず、すごいほどおほく、暗夜あんやにはほたるなかひと姿すがたるばかりなりき。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
金沢では外国人は多く公園から小立野こだつのへ入る入口の処に住んでいる。外国人といっても僅の数に過ぎないが。私はその頃ちょうど小立野の下に住んでいた。
その頃父は小立野こだつのと言うところの、げんのある薬師やくしを信心で、毎日参詣するので、私もちょいちょい連れられて行ったです。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小児こどもせめて仏のそですがろうと思ったでしょう。小立野こだつのと言うは場末ばすえです。先ず小さな山くらいはある高台、草の茂った空地沢山あきちだくさんな、人通りのないところを、その薬師堂やくしどうへ参ったですが。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)