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小布
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こぎれ
ふりがな文庫
“
小布
(
こぎれ
)” の例文
こう
自棄
(
やけ
)
に言い放つと、髪に
櫛
(
くし
)
の歯を入れて、何か化粧下のようなものを
小布
(
こぎれ
)
にそそぎかけて、それを指先に巻きながら、眉、口紅を拭き直している。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は両手へ紐を絡んで引くと、
小布
(
こぎれ
)
を縫って
拵
(
こしら
)
えた赤い紐は何の苦もなく、灯心のようにフッと切れます。
銭形平次捕物控:020 朱塗の筐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おともさん」が縫いあげた、帯だの、着物だのの賃銀を主屋の方に行ってもらって居る呉服屋の店先で、私は祖母の胴着と自分の袖にするメリンスの
小布
(
こぎれ
)
を見て居た。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
針箱の
抽斗
(
ひきだし
)
をかき廻して、
小布
(
こぎれ
)
を探しているふうだったが、その物音を聞きとめたものらしく、誰か、中二階の腰窓をあけたかと思うと、
梯子
(
はしご
)
の上から
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は兩手へ紐を
絡
(
から
)
んで引くと、
小布
(
こぎれ
)
を縫つて
拵
(
こしら
)
へた赤い紐は何の苦もなく、
燈芯
(
とうしん
)
のやうにフツと切れます。
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
「行水が濟んでから、家中を探して見ましたが、賣れ殘りの
小布
(
こぎれ
)
が少しあるだけで何んにもありやしません」
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
伝右衛門は手に取って、
凝
(
じっ
)
と見つめた。それは古代紫の
縮緬
(
ちりめん
)
の
小布
(
こぎれ
)
で、何か小さなものが包んである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主人一人奉公人一人の見る影もない
小布
(
こぎれ
)
屋に成り下がり、妹お比奈が折角濱松在から訪ねて來ても、お勝手の板の間より外には、寢かす場所もないといふ有樣だといふのです。
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しばらくするとその
影
(
かげ
)
は、
小布
(
こぎれ
)
で目をおさえたまま、蛾次郎のいるのは知らぬようすで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
指を
小布
(
こぎれ
)
で巻きながら、お吉はそれへ
上眼
(
うわめ
)
を送ったが、黙って、顔を振ってみせた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「新鳥越から向う柳原は、少し遠過ぎるぜ、あの
小布
(
こぎれ
)
屋の店はどうするんだ」
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
丹左は、愚痴ッぽくつぶやいて、彼女の寝ていた後を、
猜疑
(
さいぎ
)
な眼で見まわした。——見るとそこに、帯の端でも裂いたような
小布
(
こぎれ
)
が捨ててあった。その
布
(
ぬの
)
にはすこし血がついている。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「不足なものは、猫の首環だよ。赤い
小布
(
こぎれ
)
をくけて、小さい鈴をさげた首環」
銭形平次捕物控:253 猫の首環
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ズッと足元まで見下ろしてくる
間
(
ま
)
に、水辺を見廻していた日本左衛門は、ふと、
美鱗
(
びりん
)
をもった魚の如き
金襴
(
きんらん
)
の
小布
(
こぎれ
)
が、奔激する水をくぐッて、浮きつ沈みつしてゆくのに眼を
奪
(
と
)
られました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「新鳥越から向柳原は、少し遠過ぎるぜ、あの
小布
(
こぎれ
)
屋の店はどうするんだ」
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
娘らしく
小布
(
こぎれ
)
の箱と物の本二三册と、手習ひ草紙と、古い
歌留多
(
かるた
)
と、それに可愛らしいもの
細々
(
こま/″\
)
したものが少しばかりあるだけ、貧しさに
徹
(
てつ
)
してろくな紅白粉も、髮の飾りもない痛々しい有樣です。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
下着の袖を裂いた紅い
小布
(
こぎれ
)
を手にしながら——
怖々
(
こわごわ
)
と寄って
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
“小布”で始まる語句
小布施
小布団
小布團
小布屋
小布瀬
小布片