小倅こせがれ)” の例文
その手は食わん、金箱というのは、茂太もたとやら茂太しげたとやらいう小倅こせがれのことではない、そのほかに確かに見届けたものがあるのじゃ。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
押し返してねだるように願うと、忠利が立腹して、「小倅こせがれ、勝手にうせおれ」と叫んだ。数馬はそのとき十六歳である。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
青年たちは二十五六が大将株で、十七八の小倅こせがれまで、背広にクワエ煙草というアンチャンの方式通りの姿であった。
淪落の青春 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
難民の小倅こせがれどもがまだあきらめきれずに金帛きんぱくの類を求めてゐるのでございませう。……かうしてさしもの桃華文庫もあはれはかなく滅尽いたしたのでございます。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
あきれた小倅こせがれだ。白を黒と言いくるめやがる。やい! この壺は、こどものおもちゃじゃねえんだぞ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
一つはチョークのかけら、これは門番の小倅こせがれへ返してやって下さい。もう一つは、手帳から引むしった、金庫の合言葉を書いた紙、これは家扶の本藤へ返してやって頂き度い。
判官三郎の正体 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「いよいよこの小倅こせがれは唯者ではない。」
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
難民の小倅こせがれどもがまだあきらめきれずに金帛きんぱくの類を求めているのでございましょう。……こうしてさしもの桃華文庫もあわれはかなく滅尽いたしたのでございます。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
「君は兵馬を小倅こせがれあなどっているが、なかなかそうでないぞ、あれほどに腕の立つ奴は、新撰組にも幾人とない」
「この小倅こせがれ異相いそうをしている。」
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「ナニ、覚悟がある? 覚悟とはどうしようというのじゃ、小倅こせがれ分際ぶんざいで」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
思われるのは例の茂太郎という小倅こせがれが、天馬往空の悪い癖で、今度は河岸かしをかえて東北地方へでも飛び出し、兵部の娘がそれを追っかけて、例の夜道昼がけをいとわぬ出奔しゅっぽんぶりを発揮したために
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
甲州の山の中から出て来た勝っ気で勘定高い小倅こせがれが一人、あの近所に住んでいるんでございます、こいつが田作ごまめの歯ぎしりで、ヒドク薩州のおさむらいを恨んでいるんですから、あいつをつっついて
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)