宵寝よいね)” の例文
旧字:宵寢
「さては、死にもの狂いの苦計に出て、深夜の逆襲さかよせをはかっているにちがいない。奴らの酒もりがすんで、宵寝よいねに入ったと見えたらそれがしおだ。ぬかるな」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父も母も宵寝よいねの早起きだったのて、台所ではもうきたての飯の匂いがしており、七輪にかかったなべふた隙間すきまから、懐かしい味噌汁みそしるの甘い煙もき出していた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
宵寝よいねの習慣を持っている川辺家の人々は、皆寝しずまって、月のみが、樹木の多い庭園を昼のようにてらしていた。小石川の植物園と同じ丘陵の上にある庭は大樹が多かった。
第二の接吻 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
灰汁桶あくおけのしずくやみけりきりぎりす」「あぶらかすりて宵寝よいねする秋」という一連がある。これに関する評釈はおそらく今までに言い尽くされ書き尽くされているであろうと思う。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
昼寝ばかりではない、朝寝も宵寝よいねも致します。しかし寝ながらにして、えらい理想でも実現する方法を考えたら、二六時中車を飛ばして電車と競争している国家有用の才よりえらいかも知れない。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宵寝よいねをしているんだ。欠伸をしない筈だ。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あぶらかすりて宵寝よいねする秋 芭蕉
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
宵寝よいねの一睡から醒め、飯を食うておる折へ、ちょうど御辺がお訪ねというので、食べかけたもそのまま、半分で膳を退げさせてしもうたのでござる。まずまず、話も一献あっての上のほうがはずむ。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)