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室香
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むろか
演る口上に
樸厚なる
山家育ちのたのもしき所見えて
室香嬉敷、重き
頭をあげてよき程に
挨拶すれば、女心の
柔なる
情ふかく。
昔は
此京にして此
妓ありと評判は
八坂の塔より高く
其名は
音羽の滝より響きし
室香と
云える
芸子ありしが、さる程に
地主権現の花の色
盛者必衰の
理をのがれず
さてもそののち
室香はお辰を
可愛しと思うより、
情には鋭き女の勇気をふり起して昔取ったる
三味の
撥、再び握っても色里の往来して
白痴の大尽、
生な
通人めらが
間の
周旋