安穩あんのん)” の例文
新字:安穏
サア、縛つてくれ、磔刑はりつけにでも火焙ひあぶりにでもしてくれ、——その代り、萬一俺の母親が餓死うゑじにするやうな事があつたら、俺は死んだつてお前達を安穩あんのんには置かないぞ
あにじやに見着みつかつたうへからは安穩あんのんむらにはられぬ、とおもふと、てら和尚をしやうまで一所いつしよつて、いまにも兩親りやうしんをはじめとして、ドヤ/\押寄おしよせてさうにおもはれ、さすがに小助こすけあわたゞしく
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
牧場に足らふ安穩あんのんの命に倦みて、すずろかに
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ひめさへ安穩あんのんなら何事なにごと大事だいじないわい。
俺は斷つたとも。一應も二應も斷つたが、——十年越の借金を拂つて、母一人を安穩あんのんに養ふためには、斷つてばかりも居られなかつた。——口惜くやしいが俺は承知した。