嬋妍せんけん)” の例文
実に嬋妍せんけんたおやかにして沈魚落雁ちんぎょらくがん羞月閉花しゅうげつへいかという姿に、女ながらもお月は手を突いてお村の顔に見惚みとれる程でございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それに比べてきわだつ感じをお受けになることもなかろうと思われるが、なお第一の嬋妍せんけんたる美人はこれであると院はこの時驚歎きょうたんしておいでになった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
良人おっとの言下に、嬋妍せんけんたる衣摺きぬずれとともに、廊口の衝立ついたてから歩み出て来た夫人が、柳眉をきっと示して言った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前なる四輪の豪奢ごうしゃな馬車には、霊公とならんで嬋妍せんけんたる南子夫人の姿が牡丹ぼたんの花のようにかがやく。うしろの見すぼらしい二輪の牛車には、さびしげな孔子の顔が端然たんぜんと正面を向いている。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
一度其赫灼かくしやくたる霊光の人の胸中に宿るや嬋妍せんけんたる柳眉玉頬りうびぎよくけふの佳人をして、猶這般しやはん天馬空を行くの壮事あらしむる也。れ信念は霊界の巨樹也。地上の風に其一葉をだもふるひ落さるゝ事なし。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
嬋妍せんけんたる両鬢りょうびんは、秋のせみのつばさである。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と、すぐ椅子いすをうごかして、その嬋妍せんけん細腰さいようを曲げかけた。しかし「いや、いいんですよ」とばかり、西門慶もそれより低く身をかがめる。そして彼女のの下へ手を触れた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)