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妖星
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ようせい
こは一般に
老若が
太く魔僧を
忌憚かり、敬して遠ざからむと勤めしよりなり、
誰か
妖星の天に帰して、眼界を去らむことを望まざるべき。
ただの夢ではない。
糢糊たる夢の大いなるうちに、
燦たる一点の
妖星が、死ぬるまで我を見よと、紫色の、
眉近く
逼るのである。女は紫色の着物を着ている。
畢竟彼は何等の害をも加ふるにあらざれば、犬の寝たると
太だ
択ばざるべけれど、
縮緬の
被風着たる人の形の
黄昏るる門の薄寒きに
踞ひて、灰色の
剪髪を
掻乱し、
妖星の光にも似たる
眼を
睨反して
青いぶきみな
妖星が、四
条の水にうつりだした。