はら)” の例文
かれ後にはな佐久夜さくや毘賣、まゐ出て白さく、「はらみて、今こうむ時になりぬ。こは天つ神の御子、ひそかに産みまつるべきにあらず。かれまをす」
宇宙は自己を歌ふべき者を生みたるなり。「処女はらみて子を生まん」其名は天地をたゝふる者、人生を慰むる者。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
『今昔物語』に、支那の聖人宮迦羅くがら、使者をして王后を負い来らしめ、犯してはらませた話あり。
彼らはここに総じて人生の意味価値を思量し、永遠への思慕に根ざす烈しい魂の不安を経験する。かくて彼らの精神は、緊張し、高まり、はらみ、そうして生産するのである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ソノ世系ノ如キハ野乗やじょうニ詳ナリ。母はらムコト十三月ニシテ産ム。尾公ノ家臣原氏ノ女ヲめとリ四男一女ヲ生ム。曰ク典。吉。混。茂。女ハ先ニ死ス。典ト茂トハ今征夷府せいいふつかフ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
陛下がおはらまれになりました時から、故宮はたいへんな御心配をなさいまして、私に御委託あそばしたある祈祷きとうがございました。くわしいことは世捨て人の私に想像ができませんでございました。
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
かれその政いまだ竟へざるほどに、はらませるが、れまさむとしつ。すなはち御腹をいはひたまはむとして、石を取らして、御裳みもの腰に纏かして、筑紫つくしの國に渡りましてぞ、その御子はれましつる。
ちょうどそのころから母の胎にはらまれたのがあなたです。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)