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奸謀
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かんぼう
井伊大老は
夷狄を恐怖する心から
慷慨忠直の義士を憎み、おのれの威力を示そうがために
奸謀をめぐらし、天朝をも侮る神州の罪人である
遂し浪人藤崎道十郎が
修羅の
亡執も此處に
浮み出て嬉く思ふなるべし果せる
哉惡事の
報い速かに
巡り來りてさしも申
詐りたる村井長庵が
奸謀も
悉皆く調べ上に相成
初て
貞婦お
光孝子道之助が善報の程は
神佛の
應護にも
預りし物成んと其
頃風聞なせしとぞ
偖其翌年に至りて
公儀に有難き
大赦の行はれけるに御
上にも久八が忠義の程を
岡部駿河守らをはじめ
奸吏ども数多くこれありて、
井伊掃部頭、
安藤対馬守らの遺志をつぎ、
賄賂をもって種々
奸謀を行ない、
実もって言語道断、不届きの至りなり。