さら)” の例文
つれ逃來にげきたりし譯ゆゑあへにくむ程のこともなし夫に旅馴たびなれぬゆゑ熊谷土手にて惡漢わるものだまされ既に妻をもさらはれんとする所に八五郎のはなしにより某駈着かけつけて惡漢を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
或る人がなかごう枳殻寺からたちでらの近所を通ると、紙の旗やむしろ旗を立てて、大勢が一団となり、ときの声を揚げ、米屋をこわして、勝手に米穀をさらって行く現場を見た。
何か確乎しっかりとしたものにでも執り付いていなければ、何処かへさらわれて行きそうだ。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「異人さんから貰つたのよ。引つさらつて来たのよ。」と女は云つた。