大略あらかた)” の例文
ヘイ水揚ものも御座りましたが夫も大略あらかた結了かたづいて少のひまを得ましたより參りしわけも外ならず時も彌生やよひの好時節上野隅田すみだの花も咲出さきいで何處も彼所もにぎはふゆゑ貧富ひんぷを問ず己が隨意まゝ割籠わりごを造り酒器さゝへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
貧乏は知らないと云ってもいから、愚痴になるわけはないが、自分の親を、その年紀としで、友達の前で、呼ぶに母様をもってするのでも大略あらかた解る。酒に酔わずにアルコオルに中毒あたるような人物で。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はい芳江でござります! 話は大略あらかた戸の外でお聞き致してござります……いえいえどうあっても老師様はここから他へはやりませぬ! どうぞお止どまりくださりませ! 一生のお願いでござります」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これで事情が大略あらかた解った。ははあなるほどそうであったか。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)