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おびただし
さらぬだに燃ゆるばかりなる満開の
石榴に四時過の西日の
夥く輝けるを、彼は
煩しと目を移して更に
梧桐の
涼き広葉を眺めたり。
が、地方としては、
此まで
経歴つた
其処彼処より、観光に
価値する名所が
夥い、と聞いて、
中二日ばかりの
休暇を、紫玉は此の土地に
居残つた。
が、地方としては、これまで
経歴ったそこかしこより、観光に
価値する名所が
夥い、と聞いて、中二日ばかりの
休暇を、紫玉はこの土地に居残った。
齢はなほ六十に遠けれど、
頭は
夥き
白髪にて、長く生ひたる
髯なども六分は白く、
容は
痩せたれど
未だ老の
衰も見えず、
眉目温厚にして
頗る
古井波無きの風あり。
かかることありし翌日は
夥く脳の
憊るるとともに、心乱れ動きて、その
憤りし
後を憤り、悲みし後を悲まざれば
已まず、為に必ず一日の勤を廃するは彼の病なりき。