売付うりつ)” の例文
休憩時間きふけいじかんには控所ひかえじよ大勢おほぜいの中を奔走ほんそうして売付うりつけるのです、其頃そのころ学習院がくしうゐん類焼るいしやうして当分たうぶん高等中学こうとうちうがく合併がつぺいしてましたから、こゝへも持つて行つて推売おしうるのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二伸 かの六畳土庇どびさしのざしき太鼓張襖紙たいこばりふすまがみ思案につき候まゝ先年さる江戸座の宗匠そうしょうより売付うりつけられ候文化時代吉原よしわら遊女の文殻反古張ふみがらほごばりに致候処妾宅しょうたくには案外の思付に見え申候。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あるいは商人のごときは兵乱へいらんのために兵器へいき売付うりつくるの道を得てひそかによろこびたるものありしならんといえども、そのすきじょうじて政治的干渉かんしょうこころみるなどくわだてたるものはあるべからず。
のみならず何を隠そう、一個月ばかり前にテル子嬢の大事なフォックス・テリヤを盗んで大学の博士の卵に売付うりつけたのは、誰あろう、この吾輩なのだ。家人のすきを窺ったものであろう。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)