墓参はかまいり)” の例文
旧字:墓參
幸「毎月墓参はかまいりをいたしたいと思いますが、屋敷家業というものは体が自由になりませんので、つい不信心ぶしん/″\になります」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
父親おやじる時分、連立って阿母おふくろ墓参はかまいりをすると、いつでも帰りがけには、この仁右衛門の堂へ寄って、世間話、お祖師様そしさまの一代記、時によると、軍談講釈
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
松林の中に門の屋根をそびやかした法華寺で、ここも盆の墓参はかまいりをするらしい人が引きつづき出入をしていた。
吾妻橋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
天気のいわりに往来は少い。墓参はかまいりくかと思われるような女子供の、車に乗ったのに逢った。町屋の店先に莚蓆むしろを敷いて、子供が日なたぼこりをして遊んでいる。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
線香、花、水桶なぞ持った墓参はかまいりが続々やって来る。丸髷まるまげや紋付は東京から墓参に来たのだ。さびしい墓場にも人声ひとごえがする。線香の煙が上る。沈丁花ちんちょうげや赤椿が、竹筒たけづつされる。新しい卒塔婆そとばが立つ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そうか。わしもそこの駅まで送って行きたいが、今日お墓参はかまいりをするにも隣の人に留守番をして貰うような始末なんだからな。わしは行かないよ。帰ったら皆さんに宜しく言ってくれ。」
老人 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
新盆にいぼんに、切籠きりこげて、父親おやじと連立って墓参はかまいりに来たが、その白張しらはりの切籠は、ここへ来て、仁右衛門爺様じいさまに、アノ威張いばった髯題目ひげだいもく、それから、志す仏の戒名かいみょう進上しんじょうから、供養のぬし、先祖代々の精霊しょうりょう
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此所までは半日で来られるから、墓参はかまいりをさせて、追善供養もしようじゃないか、私は三百石も田地があり、山もあり、不自由はさせねえから、ことには、此の子のためには叔父さんに当ると云うだから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
丁度十日目のことで、多助は墓参はかまいりをして帰ってまいりますと
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)