“堕胎(おろ)” の例文
旧字:墮胎
堕胎(おろ)された孩児(ややこ)というのは、取りも直さずお前の兄さんで、お前の代りに家倉(いえくら)を貰う身柄であったのを、闇から闇に落されたわけで
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
初めて出来た子は堕胎(おろ)され、私も死に、親子諸共に死ぬような事になるも、内儀さんのお蔭じゃ、口惜(くやし)い残念と十一日の間云い続けて到頭死にました、その死ぬ時な
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうもお相伴を難有(ありがと)うございますよ。」と向(むこう)へ坐ったのは、遣手(やりて)が老いたりという面構(つらがまえ)、目肉(めじし)が落ちたのに美しく歯を染めている、胡麻塩天窓(ごましおあたま)、これが秘薬の服方(のみかた)、煎法(せんぽう)、堕胎(おろ)した後始末
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水ッ子と云っても、その中には堕胎(おろ)した児、生れてから殺した子、又は捨て児(これも結局は同じ事であるが)が含まれている。
そう事が定(きま)れば宜(い)いが…なんだって女子(おんなッこ)と色事をして子供を出かし、子を堕胎(おろ)そうとして女が死んだって…人殺しをしながら惚気(のろけ)を云うなえ、もう些(ちっ)と遣(よこ)しても宜(い)いんだが
ま主人(あるじ)が女房に隠して、家(うち)にいた若い女に手を附け、それがま懐妊したによって何時(いつ)か家内の耳に入ると、悋気深(りんきぶか)い本妻が騒ぐから、知れぬうちに堕胎(おろ)してしまおうと薬を飲ますと
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「実は四人ほど堕胎(おろ)しましたので……喰うに困りまして……どうぞ御勘弁を——」
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
子供は産(うま)れたが、婦人は死んでしまった所密通をした廉(かど)と子を堕胎(おろ)した廉が有るから、拠(よんどころ)なく其の死骸を旅荷に拵(こしら)え、女の在所へ持って往(ゆ)き、親達と相談の上で菩提所(ぼだいしょ)へ葬(ほうむ)る積りだが