埃塗ほこりまみ)” の例文
なかには埃塗ほこりまみれの手で、湯気の立つたスウプの皿を持つてゐるのを見掛けたと言ふからには、これも満更まんざら嘘だとばかしは言はれない。
ともかくノートは、板の間の埃塗ほこりまみれの円柱の蔭から、積んであったルナンやパピニの基督キリスト伝の下から、むしくいだらけになって現れた。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
いろ真蒼まつさをで、血走ちばしり、びたかみひたひかゝつて、冠物かぶりものなしに、埃塗ほこりまみれの薄汚うすよごれた、処々ところ/″\ボタンちぎれた背広せびろて、くつ足袋たびもない素跣足すはだしで、歩行あるくのに蹌踉々々よろ/\する。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)