国手こくしゅ)” の例文
旧字:國手
国手こくしゅと立花画師との他は、皆人足で、食糧を持つ他には、道開き或いは熊けの為に、手斧ておののこぎりかまなどを持っているのであった。
壁の眼の怪 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
この道では、日本一の名国手こくしゅたたえられているK博士の手術を受けるのであるから、何の不安もなく、経過もきわめて順調であった。
それがもうみんなとうの昔に故人になったしまって、それらの記念すべき諸国手こくしゅの面影も今ではもう朧気おぼろげな追憶の霧の中に消えかかっている。
追憶の医師達 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
枕頭まくらもとには軍医や看護婦が居て、其外彼得堡ペテルブルグで有名なぼう国手こくしゅがおれのを負った足の上に屈懸こごみかかっているソノ馴染なじみの顔も見える。
事実、この二人の国手こくしゅがついていれば、大丈夫保険附きのようなものですから、お角さんの口前とばかりは言えません。
かく言いけて伯爵夫人は、がっくりと仰向あおむきつつ、凄冷せいれいきわまりなき最後のまなこに、国手こくしゅをじっとみまもりて
外科室 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところがその途中で翁が突然にウームと云って椅子の上にり返ったので、近まわりの人々が馳け寄って抱き止めた。それから大騒ぎになって、附近の今泉に住んでいる権藤国手こくしゅを呼んで来る。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
国手こくしゅ、なにを申されるか。壁にも耳のある世間、めったなことを……」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国手こくしゅ喝破かっぱして
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)