和声ハーモニー)” の例文
旧字:和聲
以上述べたところを約言してみると、連句は音楽と同じく「律動リズム」と「旋律メロディー」と「和声ハーモニー」をその存立要件として成立するものである。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
一つの歌曲リードには四行から六行くらいの詩句で十分である。もっとも単純な表現でよろしい。巧妙な展聞も精緻せいち和声ハーモニーもいらない。
和声ハーモニーの無いことは確かである。彼等はすべて同音で歌う。
音楽の老木は、ふたたび柔らかな若葉におおわれようとしている。和声ハーモニーの花壇には、無数の花が新しいあけぼのににこやかな眼を開きかけている。
クリストフの強健な手がこね上げた音響の捏粉ねりこからは、いまだ世に知られぬ和声ハーモニーの集団が、人を眩暈めまいせしむるばかりの和音の連続が、出て来た。
律動リズム和声ハーモニーとの珍しい発見物、光沢こうたくのある柔らかい精緻せいちな織物の配列、色彩の絢爛けんらん、発明力と機智との不断の傾注、などを認めざるを得なかった。
私の魂を純なる和声ハーモニーへ鼓舞してくださる貴いミューズの神と、いったん交わりを結びますると、すぐさま私はミューズの神を愛するようになりました。
彼らは苦しみにも、蹉跌さてつにも、ほとんど現実にも、無関心であって、ただ魂の無声の音楽に、数と形との微妙雄大な和声ハーモニーに、眼を閉じてき入っていた。
二人は音楽のことばかりを話しはしなかった。和声ハーモニーに関してジョルジュは、絵画や風景や人の魂のことなどをもち出した。彼を制御するのは困難だった。
室内に蟄居ちっきょしてしびれがきれたら、律動リズムを創作しにでも出かけるがいい! パリー人らのように動きのない微細な和声ハーモニーと混和させるには、もってこいだ!
もちろん、お祖父じいさんが伴奏ばんそうをつけたし、また歌の調子ちょうし和声ハーモニーを入れておいた。それから……(彼はせきをした)……それから、三拍子曲ミニュエット中間奏部トリオをそえた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
もちろん私が伴奏を加えたし、また歌のキャラクテールに和声ハーモニーを入れておいた。それから……(彼はせきをした)……それから、メヌエットにトリオを加えた。
薄暗いひだのある懇篤な学者的なドイツの思想、熱情的なイタリーの旋律メロディー、細やかな節奏リズムと柔らかい和声ハーモニーとに富んでるフランスの敏才、などが結合されていた。
そして先ごろから私のミューズの神は、霊感のさなかに幾度となく、私の耳へささやいてくだされました。「あえてせよ、あえてせよ! なんじの魂の和声ハーモニーを書けよ!」
けれども彼女は、クリストフが自然だと思っていたある種の粗暴な和声ハーモニーにたいしては、あまり同感し得ないことを示した。彼女はそれに出会うと、一種の齟齬そごを感じた。
和音のそよぎ、鐘のように鳴り響く色調、蜜蜂みつばちの羽音に似た和声ハーモニー、恋せるくちびるのように微笑ほほえ旋律メロディー。また、風景の幻影、人の面影、熱情、霊魂、性格、文学的観念、形而上学的けいじじょうがくてき観念。
彼は座席に身を起こし、頭を前方に差し出し、手を耳にかざし、独語をし、満足げに笑い、そしてある珍しい和声ハーモニーの箇所になると、くちびるをなめようとでもするようにちょっと舌を出した。
天才を中心とする大きな集団的魂を——諸天体の和声ハーモニーにその親愛な合唱を交えながら空間を回転する、光り輝く一世界、精神上の一遊星、とも言うべきものを、こしらえ出すものである。
だれも和声ハーモニーを教えてやろうとする者はいなかったし、彼自身も教わろうとは心掛けなかった。あらゆる学問および学問的精神はことごとく、彼の家庭に欠けていて、ことに母方の方に欠けていた。
フロリアン・ホルツェルについて和声ハーモニーを学んでいる。